この世界を、こうあれと意思する者

この世界を、こうあれと意思する者がいる。

この世界全体をくまなく支配する、とてつもなく大きな存在である。

私は前回、それを「至大存在」と名付けた。

 

この世界で起きる事象は、すべて至大存在の意思である。

先週の台風19号は、各地に大きな爪痕を残し、多くの人が犠牲になった。それも、至大存在がそうあれと意思したのだ。

 

このように書くと、至大存在がいかにも無慈悲なことを企む、悪の根源であるように思えてくるかもしれない。しかし、そうではない。

至大存在は、善悪の彼岸にいる。

そもそも善や悪といった観念は、我々人間が産み出したものであり、至大存在には適用できない。

至大存在は、とてつもなく大きく、この世界の全体と輪郭を同じくしている。

人間が「こうあるべき」と考える世界を、はるかに超えて存在している。

ゆえに、そのあり方は善でも悪でもなく、強いて言えば「真(シン)」の大前提なのである。

 

また、至大存在は「こうあれ」と意思する者だが、それは我々が「神」と呼ぶ、人格ある存在とは異なる。

「神」とは、この世界を創り操る存在を、人間の姿との類比でイメージした存在である。

至大存在は、そのような姿形を持たない。あるいは、その姿形は、この世界すべてにピッタリと密着しているとも言える。

至大存在は、言葉で命令することをしない。

至大存在が抱いた意思は、何ものをも介することなくそのままに、瞬時にこの世界に反映される。

我々の生きる現実は、その瞬間瞬間が連続したものである。